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JY 第2章

JY

美術家

〜リアリティを生きるアーティスト〜

第2章 

現代アーティスト


 
この章では、JYの軌跡を辿りながら多角的にJYの人物像に光を当てていく。

ここでもJYの言葉を引用しながら核心に迫ってみたいと思う。

JYは早年に来日し日本の大学で物理学の博士号を取得し「浸透」統計物理学の研究に専念する。
その後、東京芸術大学の絹谷幸二研究室で研鑽を積み、やがて統計物理学の浸透理論を絵画制作に融合させる。 
キャンパス上で絵具が浸透、拡散する過程を制御することによって、物理次元の自然法則を絵画創作の審美表現として取り込んだのである。


JYの言葉を引用しよう。

「現代アートは過去の絵画表現の制約から解き放たれ自己を思う存分表現出来る空間が拡大している。」

JYの言葉を拝借すると「勝手にしやがれ!」とでもいうかのように。

「だからこそ作品のリアリティが非常に重要になってくる。

作家の生き方とリンクしていなければ作品は空疎なものになる危険性をはらむ。

作品とアーティストの間には必然性がなければならない。」

この作品を生み出す真摯な姿勢が鑑賞者にスリリングな体験をもたらす事を可能にしているのだと思う。


JYは2022年に銀座の画廊で《逍遥遊》というタイトルの個展を開いている。

初めて筆者が作品を拝見した時の衝撃を忘れない。

作品が生きていると感じた。

『豹』をモチーフにしていたのだが、そこに生存するかのような生々しさに目が離せなくなった。

その後何度も作品の中の『豹』に対面するのだが、初めて見た時の戦慄が色褪せないのが不思議だった。

当時は『豹』があまりに本物のようで単純に怖いのだと思っていたのだが、今振り返ると『豹』の実在に畏怖を感じていたのだと思う。

たとえ他の誰かが全く同じ線をなぞって描いたとしてもその『豹』に畏怖を感じることはないだろう。

表現される線にはその人が宿るのである。



鑑賞者の精神性に揺さぶりをかける作品はどのように生み出されるのか?

ふとJYに情熱について尋ねてみた。

JYは情熱を意識したことはないという。

「情熱かどうかはわからないが、内側からやらずにいらない衝動が湧いてくる。

それは人間にとって自然な状態だと思っている。

新たな閃きが生まれ、それを興奮をもって受け止め行動に移す。

すると更なる閃きが生まれ、また新たな行為が生まれる。

この循環が創作の原動力となり更なる深みを増していく。

感じたものを創作によって確認してみたいという渇望は寝食を忘れさせる。」

JYは、内側から溢れ出す純粋な衝動と作品のリアリティを真剣に表現することで魂が伝わると信じている。


またJYはアートの本質を常に意識していると語る。
「既存の世界観に変革をもたらすこと。

人はどこまでアーティストの表現に共感してくれるのか?それが鍵になる。

表現者と受け手の相関関係により既存の世界観に亀裂が入り世界は変容していく。」

JYの作品の放つ強いメッセージが鑑賞者をどこか不安にさせるのは、既存の世界観が揺らぐからだ。

変化をもたらすには破壊されることが前提となる。
破壊されなければ何も変わらない。

JYの作り出した革新的な画風は高く評価されアジア現代美術の代表作家として、アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本などで国際的に活躍の幅を広げている。


最後に再びJYの言葉で締めくくろう。

「文明で野性を解釈する傲慢さを忘れて、野性の本能で文明を探険しよう。 

洗練の裏に潜む魂の叫び声に耳を傾ける。

極端に物理性を追求すれば、高い次元で精神性と遭遇する。

作品の中の真のリアリティは人の心を動かす力となり、自由に想像させる翼になる。」


JYの作品は、我々鑑賞者を何処へ誘おうとしているのか?

第3章では、JYの宇宙的思索を紐解きながらJYの宇宙観とアート作品が示唆する未知の領域へと旅してみたいと思う。

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