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李焱(LI YAN)

李焱(LI YAN)

美術家

〜 一瞬一瞬、真新しい時を生きる 〜

「新しい絵(キャンバス)に向かう瞬間が一番好き」

どんな絵が好きですか?という質問に李焱の弾む

ような答えが返ってきた。

〘この世に生まれ出づる前の絵〙

真新しいキャンバスに向かう一瞬。

その掛け替えのない瞬間を慈しむ李焱の息遣いま

で聴こえてきそうだ。

その時李のアトリエはどんな空気感で震えている

のだろうか。

インタビューの最中に李からは何度も『一瞬一

瞬』という言葉が繰り出される。

李にとって、そもそも絵を描くことが一瞬一瞬の

数珠繫ぎ。

新たな時を迎え撃つかのように描くという行為が

生み出されていく。

「自分自身がフレッシュでないと作品がフレッシ

ュにならないから。」

時間の捉え方は人生の捉え方と相関関係にある。

李にとって一瞬一瞬の変容は極めて日常的なこ

と。

「先程まで話をしていた我々と今話している我々

は既に違っているでしょう。」と話す。

李の時間は一本の矢のように流れてはいない。

1秒1秒刷新されていく。

一瞬一瞬が真新しい時として生まれ変わるのだ。

それが作品に対するスタンスに繋がっていく。

19歳で中国から日本に渡った李は、新しい自分

に出会いたかったのだと言う。

過去を捨てて、新たな一歩を踏み出すには相当な

勇気が必要だった。

でも、そうやって自分を壊していかないと新たな

自分と出会えない。

決意をもって日本に渡ってから9年間美術大学で

絵を学び続けた。

その間様々な師との出会いによって導かれる。

子供の頃、国中を歩き回って本を読めというのが

父の教えだった。

沢山の良いものを見て良い先生に巡り合うこと、

そして、良い悪いの判断ではなく本質を考えるこ

とが大事と教えてくれた。

李がもっとも感動した経験が今でも鮮明に蘇るの

だと言う。

個展を見に来てくれた小学生の女の子が李の絵の

前で涙を流しながら立ちすくんでいた。

涙する我が子を見たお母様も涙し、その母娘を見

ていた李も涙する。

一枚の絵を介して言葉を越えた何かが響き合う。

長い時間三人で絵の中に入り込んだような感覚を

覚えたと言う。

後にその女の子は美術の道に進むことになる。

人生を左右するアートはどうやって生み出される

のか?

李にとって描くことは呼吸をするように至極自然

なこと。

生きることは描くことであり描くことは生きるこ

と。

自分を縛らずに本心から大胆に挑んでいく。

勇気をもって自分を壊すことが大事。

それでいて描く過程は感性よりも理知が勝ってい

るのだと言う。

描くことは感性と理性の絶妙なバランスの上に成

り立つ。

それ故絵には響きがありリズムがある。

李はまた〘一炊の夢〙という言葉が好きだと言

う。

人生を『飯が炊き上がるほどのはかない時間』と

捉えた言葉だ。

一瞬のうたかたのように儚い夢だからこそ大切な

時間。

李は一炊の夢の時間を自分自身と他者と作品に捧

げる。

一瞬一瞬の変化を捉えながらキャパスの上にに真

新しい時を刻んでいく。

常に突き進んでいきたい!

先程まで描いていた私はもういない。

生命は破壊と再生を繰り返す。

🌈Li Yanさんの個展のご案内です。

《編集後記》

李さんの絵を拝見して、初めて筆者も絵を描きたいと思いました。

絵という媒体を使って何か内側から溢れてくるものを表現してみたい。

そう素直に思わせていただきました。

不思議なご縁に心より感謝申し上げます。


 

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